- 作者: 仲谷明香(AKB48)
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/04/02
- メディア: 新書
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ページ数:188
AKB48は今現在日本を代表する女性グループアイドルだが、AKB48の中でも卒業を発表した前田敦子さんや大島優子さんのようにメディアに多く出演しているメンバーもいれば、劇場公演でしか見られないメンバー*1まで幅広く存在する。非選抜アイドルでは、前田敦子さんと同じ中学の同級生ながら対象的な道を歩んだ仲谷明香さんが書いた自伝である。決して、三文ゴシップ誌*2に書かれるような芸能界の暴露話ではない。
自伝と書いたのは、仲谷明香さんの今までの人生をAKB48での活動を中心にして書かれているからで*3、今まで深く語られなかった家族構成やオーディションでのエピソードもあったり、AKB48の歴史が浅い頃の出来事が綴られているからだ。主に記述されているのは、メディア露出の少ない干されメン*4の生き残り戦略についてで、AKB48が劇場公演をメインにしているのを逆算してのやり方だと思えば納得する。そこには本人の性格も関わっていると自己分析されており、彼女なりのやり方でもある。もっとも、そのやり方は著書に書かれているようにAKB48だから出来たやり方であって、他の女性アイドルグループだと恐らく難しい。
仲谷明香さんの将来の夢は声優ということで、声優活動についても触れている。声優ヲタとしては、中学の頃に声優養成所に通っていたエピソードと、もしドラ絡みの声優仕事を読むだけでも価値がある。朗読の難しさと、声優事務所外から見た声優オーディションの特徴が書かれていたのが面白い。声優視点だと書店で声優本を探せば見つかるが、声優事務所外から見た例はあまり見かけないからだ。受かったのがAKB48のメンバーだからと自覚しているのも、また興味深かった。
仲谷明香さんに興味を持ったきっかけはAKB48では少ない声優志望*5だと知ったからで、正直干されメンだとは思っていなかった。世間一般で知られるようなメンバーと違い将来の夢に少しずつでも動いているからだ。TVでのメディア露出よりもラジオでの露出の方が圧倒的に多いが、それも将来の夢が声優という目標があるからできることだと思っている。最近はSKE48界隈の方が興味あって、正直AKB48のメンバーにはあまり興味ない*6が、仲谷明香さんの夢には関心があって、注目していた。この本を購入しようと思ったのは、声優特有の養成所商売*7を否定して、AKB48から声優を目指そうと今も芸能活動を続けている事*8と、AKB48特有の芸能システムを再確認したかったからである。
新書なので学術的な内容が多く書かれているかと思いきや、影響を受けた岩崎夏海さんの文体故かもしドラっぽさが漂っていた。小説ではないけれど、新書にありがちな専門用語は芸能界関係の用語しか無く読みやすい。ただし、小学館101新書は中々出回らないためか、新刊でもほとんど陳列されていないのが難点である。同日発売の梅原大吾さんの新書にも言えるが、本を読むことよりも、入手難易度の高さ*9もまた印象深い新書だった。
*1:ここ数年、有吉AKB共和国に代表される劇場での活動中心の研究生もTVやラジオ等のメディア出演が増えているが
*2:AKB48の特徴は三文ゴシップも徹底的に抑えていることなので、暫くは暴露話は出ないだろうが
*3:14歳でAKB48に入り、今年20歳なので人生のおよそ3分の1か
*4:ファンの定義は若干異なるかもしれないが、佐藤亜美菜さんや増田有華さんが一例で使われているのをよく見る。SKE48だとつい最近までの松村香織さん
*5:他の声優志望は、AKB48内だと石田晴香さんや佐藤亜美菜さん(ただしラジオパーソナリティ)、SKE48の秦佐和子さん
*6:元々AKB48ファンだからではなく、単にSKE48の方が気になるメンバーが多くいるから
*7:声優養成所で高いレッスン料を払わせる商売